DataOps:データ管理のミッシングリンク
データの量、多様性、そして速度は高まり続けており、組織は従来のデータ管理方法に依存することができなくなっています。進化するステークホルダーの期待を満たしながら事業部門の価値を実現する洞察を導き出すために今、新しいソリューションが求められています。
Seagateが先日発表した「データを再考する」レポートの分析によると、DataOps(「データ」と「オペレーション」を組み合わせた造語)は実行可能な情報連鎖のミッシングリンクで、ITチームや企業経営者などが直面している最も深刻な複数の問題に対するソリューションとなります。大規模なデータ管理環境の一環として、DataOpsは重要な企業資源の最適な価値を実現できるよう企業をサポートします。
33%の企業はDataOps機能の構築を計画しており、30%が導入プロセスを開始していますが、すべての地域と業界においてDataOps戦略を完全に導入している企業はわずか10%となっています。
その他のデジタルトランスフォーメーションに対する幅広い取り組みと比較すると、48%の企業はパブリック・マルチクラウド戦略を導入しており、DataOpsの導入は遅れています。その理由は主に、ITスタックにおけるDataOps独自の存在によるものです。DataOpsは新技術や進化したプロセスを利用しますが、データ使用者と生成者をつないで連携を強化しイノベーションを推進するための新しいデータ規律と定義するのが最も適切です。
この目標を達成するために、DataOps導入にはAIやMLなどのテクノロジーに加えて、異なるソースからデータを収集し関連付けるELT(抽出、格納、変換)機能を使用します。DataOps導入を効率的に行うことで、優れた競争優位性を実現できます。
DataOpsの主な機能は、データ使用者(ビジネス意思決定者)をデータ生成者とつないで、企業の意思決定を促進することです。
一般的なデータ生成者には、IoTデバイスやエンドポイントデバイスなどのマシン、主要なフォーム、ドキュメント、およびその他の構造データの収集・インプットを行うスタッフが含まれます。ターゲットマーケットには、オペレーショナルマネージャーなど、事業部門で組織的な意思決定を行う責務を負っている人々が含まれます。ここで注意が必要なのは、データ生成者はデータ制作の全体像を把握していないことが多く、データ使用者が実際に求めているのはデータ自体ではなく実用的な情報である、ということです。
このギャップを埋めることが、DataOpsの主な役割です。クラウド、コア、そしてエッジサービスから別々の生成者が制作した異種データを関連付けることで、DataOpsは特定のデータ使用者グループに有益なインサイトを効率的に作り上げることができます。
DataOpsの導入は企業に大きなメリットをもたらします。調査会社であるGartnerのレポートでは、「DataOps技術を集中的に導入することで、データとアナリティクスのリーダーはより迅速、柔軟で信頼できるデータパイプライン実現への移行に影響を与えることができる」と述べられています。
しかしながら、組織構造がDataOps導入の課題となることが多くあります。例えば、47%の企業は組織において複数のバックアップおよびリカバリアプリケーションを利用していると答えています。このような個別の配置は地理的に離れている部署では仕方のないことかもしれませんが、DataOpsはこれらのデータシステムを単一の管理可能なエンティティにまとめて使用することで効率性を発揮します。Software Development Timesレポートに記載されているとおり、既存のDevOps構造は、確立されたアジャイルで反復的なプロセスにより、このような移行を円滑に行えるようサポートします。
また、名称は似ていますがDataOpsは単なるデータ向けのDevOpsではありません。この新しい規律はむしろ、長期的な価値を提供するためデータにアプローチ・連携する新しい方法を表しています。DataOpsのアプローチは、DevOpsに適した問題焦点型アプローチとは真逆です。既存のデータセットから新しい回答を導き出すことで企業の焦点を絞り実現可能な洞察を提供します。
テクノロジーは企業における効率的なDataOpsの大きな潜在的障壁となることがありますが、通信方法や職場文化などの人的な課題も導入に影響を与えます。その最も顕著な例がサイロ化です。それぞれのプロジェクトに取り組むチームは重要なデータセットの制御を共有したがらないため、データの保存、管理、分析がサイロ化します。
この人的な問題を解決するには、企業全体の基準やアーキテクチャ、データ管理に焦点を当てたグローバルなデータ戦略が必要となります。大規模なDataOps導入では、IT部門に主要機能を戻し、すべてのチームが共通のデータプールに世界中からアクセスできるようにすることで、DataOpsが要求に応じた価値を提供します。
「データを再考する」調査では、グローバル企業の42%はDataOpsの導入が「とても重要」、23%は「極めて重要」と回答している一方、将来の企業活動にまったく重要でないと回答したのは1%のみでした。
この結果から分かるとおり、DataOpsソリューションは単なるDevOpsの補完技術ではなく、企業が必要に応じて意思決定を行う未来において重要な役割を果たすであろうと言えます。しかしながらDataOpsは、DevOps導入とは異なり、スタッフおよびステークホルダーが情報資産から最大限価値を引き出せるよう、データ生成者とデータ使用者をつなぐという重要な役割があります。
総合的な企業価値向上のためのゼタバイト規模のデータ収集、保管そして分析は現在、システム上および運用上の課題を生み出しています。DataOpsは企業全体のデータ要素から潜在的な可能性を見つけ出すシンプルで安全そして経済的な方法を提供します。
「データを再考する」レポート全文では、企業がより多くのビジネスデータを有効活用するための方法をご紹介しています。