オブジェクト・ストレージ対ブロック・ストレージ

ブロック・ストレージは、長年企業に使用されていますが、ブロック・ストレージよりも新しいオブジェクト・ストレージを使用することで、ユーザーはもっと簡単にデータを取得して整理することが可能になります。その違いを詳しく見てみましょう。

目次

ファイルのストレージはデータ管理の中核となるコンポーネントです。データを複数の場所に分散する場合に、企業にとって重要なのは、使用されているストレージのタイプを知ることです。

つまり、重要な情報のデジタル化に使用されるさまざまなファイルのストレージのタイプをよく理解することです。

従来データは、メタデータが関連付けられた専用形式のファイルとして階層構造に保管されてきました。近年の職場ではデータの使用が一般化しているため、意思決定者は独自のニーズに対応するより実用的なツールを求めるようになりました。このニーズを受けて、オブジェクト・ストレージおよびブロック・ストレージ機能が開発されました。

ブロック・ストレージとは?

ブロック・ストレージは、クラウド環境内での組織のデータの保管に役立ちます。

データはストレージのブロックに分割され、データの位置の特定やデータへのアクセスが容易になるように、それぞれのブロックに一意の識別子が付与されます。これらのブロックがクラウド環境に組織的に展開されます。

ブロック・ストレージとオブジェクト・ストレージのどちらにも、ユーザーはデータをパッケージとして保管し、後で使用することができます。このアプローチは、アクセス、セキュリティ、耐障害性といった基本的なデータ管理の問題に対する強力なソリューションを提供します。

ブロック・ストレージの方が古いテクノロジーですが、ブロック・ストレージは現在も多くの企業にとって実質上標準のファイル・ストレージの選択肢になっています。ブロック・ストレージは、ボリュームを個々のハードディスク・ドライブとして取り扱うシンプルなストレージ構成を提供します。

ブロック・ストレージの欠点

ブロック・ストレージを利用する主な利点は、各ブロックが固定長で、各ユニットのデータ量を制限できることです。そのため特定のデータを見つけて取得するのは容易になりますが、企業は必要なデータを格納する大量のブロックを購入する必要があるため、ストレージのコストが跳ね上がる可能性があります。

オブジェクト・ストレージ対ブロック・ストレージ:主な相違点

オブジェクト・ストレージとブロック・ストレージは共に、データの階層構造を使用しないため、従来のファイル・ストレージ手法とは異なります。この設計により、データ管理者がデータの保管やアクセスに活用できる、柔軟なユースケースが生まれています。

オブジェクト・ストレージは、ブロック・ストレージよりも新しいストレージで、未加工データの面では明らかな利点がありますが、ブロック・ストレージの方が多くのユーザーになじみがあり、企業環境に展開するときも短期間で使用方法を学習できます。また、既存のアプリケーションやサービスの多くは、正常に機能するためにブロック・ストレージを必要とします。

オブジェクト・ストレージとその機能について詳しくは、こちらをご覧ください。

オブジェクト・ストレージとブロック・ストレージの違いを理解することは、エコシステム全体に効率的なデータ管理機能を導入するために極めて重要です。

  ブロック オブジェクト
パフォーマンス データベースとソフトウェア 大規模なデータ・セット
場所 集中型 分散型
機能 メタデータなし カスタマイズ可能なメタデータ
拡張性 定義済みのファイルサイズに制限 制限なし

デジタル資産に依存している企業は、オブジェクト・ストレージとブロック・ストレージを使用してデータ管理を自動化できます。

オブジェクト・ストレージとブロック・ストレージのどちらを使用するかを決定する際は、コンピューティング処理能力、処理時間、ストレージ機能、長期的な拡張などの事項すべてを考慮する必要があります。

パフォーマンス

最も高パフォーマンスなストレージは、一般的なタスクの実行や、少ない労力で重要インフラストラクチャを監視するのに役立つ実用的なデータ管理機能を提供します。

どちらのデータ・ストレージ環境が自社に最適かを決定するにあたり、意思決定者は、多くの重要な領域について考慮しなければなりません。

  • 読み書き時間
  • ストレージ容量
  • スループット
  • 拡張性

ブロック・ストレージ・デバイスを使用する場合は、仮想ディスクによってより柔軟なデータ管理オプションが提供されます。この設計は、高速低遅延環境の構築に使用できる適応性の高いアーキテクチャを実現します。

分散型ブロック・ストレージ・システムを使用すると、企業はプライベート・クラウドとパブリック・クラウドを活用して、頻繁にアクセスされるデータをより多くのユーザーに提供することができます。ブロック・ストレージ環境内の複数のロケーションにデータを分散する場合は、パフォーマンスに影響が及びます。

大量の未加工データを処理する必要がある企業には、オブジェクト・ストレージが適しています。オブジェクト・ストレージは、非構造化データを使用する企業に、重要な情報を検証および加工するための一元管理ソースを提供します。

この仕組みにより、データ管理者は、場所を問わずにネットワーク全体に重要な作業関連のデータを迅速かつ効率的に分散することができます。

ストレージの場所

どこに長期保存するデータを保持するかは、データを重視している企業にとって重要な問題です。地理的な冗長性、バックアップ、セキュリティは、適切にデータを管理するために極めて重要な要素です。

ブロック・ストレージとオブジェクト・ストレージは、実用的なデータ保管手段を企業のリーダーに提供します。ただし、各ストレージは利点が異なるため、適したユースケースも異なります。

ブロック・ストレージ:

  • 独自のデータ構造、つまりユーザが個々に作成された事前定義済みボリュームのブロック・データにアクセスする必要があることを考慮して管理します。
  • ユーザにデータ・アクセス用の一元管理ソースを提供するストレージ・エリア・ネットワーク (SAN) を使用して展開され、柔軟性と永続性に優れた移動可能なストレージ・システムを企業に提供します。

オブジェクトベースのストレージ・ソリューションは、使用されているデータの性質が異なるため、ブロック・ストレージとは明確に区別されます。

オブジェクト・ストレージ:

  • RAW形式の非構造化データを使用します。つまりこの情報には、迅速な検索や場所の特定に使用できるメタ・タグが関連付けられていません。
  • 専用ソフトウェアがインストールされた多くのデバイスからアクセスできます。大規模な情報プールを扱うにはこのようなアクセスが不可欠です。この機能がなければ、情報のナビゲートが難しくなります。

分析機能

データに依存して重要な業務を遂行している企業にとって重要なのは、長期的なトレンドを追跡および評価できる機能です。組織全体のメトリックを効果的に分析したい意思決定者は、ブロック・ストレージとオブジェクト・ストレージが提供する分析機能の利用を検討する必要があります。

データ・ボリューム、ユーザ・アクセス、機器の障害発生率などの重要な数値を監視することにより、データ管理者は日常業務の管理を改善できます。

ブロック・ストレージ:

  • データ管理に対するきめ細かい制御を提供します。管理者は、デジタル・エコシステム全体に多くのブロックをプロビジョングすることで、管理可能なノードの効率的なクラスタを構築できます。
  • 容易にデータ・ポイントを定義し、リアルタイムで追跡および評価できます。
  • ブロック・ストレージは、サービス提供のための大規模な分析を実施する企業にとって優れたオプションです。

オブジェクト・ストレージ:

  • オブジェクト・ストレージは、膨大なRAWデータを処理する必要がある企業に不可欠です。
  • オブジェクト・ストレージは、さまざまな形式で保存されている非構造化データを容易に分類できる高度なシステムを提供します。

このオブジェクト・ストレージ独自の特徴は、ネイティブなデータ形式を使用するときにメリットになります。メタデータを関連付けずに情報を保管することで、処理や開発の目的で未加工データに容易にアクセスできます。

拡張性

企業が事業を拡大するとデータ管理が複雑になるため、リーダーが必要とされるインフラストラクチャ計画の作成とリソースの割り当てを効率的に行うことは難しくなります。

拡張性の高いデータ管理機能を構築することで、企業はデータの破壊、損失、窃盗が発生したときに備えて回復力を高めることができます。この回復力は長期的な安定と拡張に欠かせません。

ブロック・ストレージ:

  • ブロックとしてデータを保存することで、管理者は便利な方法で情報を定義/整理できます。
  • 構造化データを使用している企業に、柔軟な業務の管理手段を提供します。
  • 企業は、ビジネスに合わせて拡張できる大規模な環境を構築できます。このアプローチにより、企業の規模がいかに拡大しても、重要なソフトウェア、ファイル、コンピューティング機能を、必要とするユーザ向けに容易に展開できます。

オブジェクト・ストレージ:

  • 大量の非構造化データの保管を簡素化します。オブジェクト・ストレージの方が、保管されているデータに対する制約は少なくなります。
  • その柔軟性によって、ユーザはデータのカスタム定義を作成できるため、使用する情報のタイプや量に無限の可能性が開かれます。
  • オブジェクト・ストレージを使用する場合は、より少ないコストですべてのデータを一か所に保管できるので、あらゆる企業が拡張性の高いデータ・ストレージを容易に活用できます。

ブロック・ストレージの利点

ブロック・ストレージは、単一の独立したパスに頼らずにソースからユーザーにデータを提供できるので、多くのトランザクションを実行する組織に適しています。この特徴を持つブロック・ストレージは、コア・サービスを提供し、多くの組織内で長期的に復元性の高いデータを構築する場合に最適です。

ブロック・ストレージは、従来のモデルまたはクラウドベースのストレージ・モデルを通じて導入可能な強力な機能をユーザーに提供します。ボリュームを個別にフォーマットすることで、ユーザーはオペレーティング・システム、アプリケーション、その他のユーザーレベルのソフトウェアの展開に最適な仮想ディスクを構築できます。

ブロック・ストレージの利点

  • 複数のシステムを接続し、多くの最新のデータ管理ソリューションの中核として機能します。
  • 柔軟なデータ分散および複製機能。
  • 仮想マシン、データベース管理、およびシステム設定タスクに使用されます。

このモジュラー型のアプローチこそ、ブロック・ストレージが企業全体のデータ管理の最も一般的な手段になった理由です。コア・サービスやアプリケーションを信頼性の高い方法で提供する必要があるユーザにとって、ブロック・ストレージほど優れたソリューションはありません。

オブジェクト・ストレージの利点

多くのサーバーや物理的な場所にわたる業務で未加工データを活用する場合、ユーザーの多くは業務を簡素化するために特定のアプリケーションや管理フレームワークを活用しています。このようなケースでは、オブジェクト・ストレージは、無限のカスタマイズ性のために使いやすさを犠牲することをいとわないユーザに非常に大きな利点をもたらします。

オブジェクト・ストレージの利点

  • データはメタデータを使用して単一の構造で定義されます。
  • データのタイプ、サイズ、メタデータを懸念せずに、大規模なデータの集合を定義して操作できるフラットなストレージ・ソリューションを企業に提供します。
  • 音声、ビデオ、画像、アーカイブ、バックアップなど、さまざまなデータに使用されます。

オブジェクト・ストレージはメタデータによって定義されます。この仕組みは、膨大な情報に対するより実用的な分析機能をユーザーにもたらします。またこのことは、データ管理者が、他のタイプのストレージでは使用が制限されているタイプのデータも、制限なく使用できることを意味します。この柔軟性により、互換性などの問題はなくなります。

オブジェクト・ストレージ対ブロック・ストレージ:どちらが御社に適しているかの見極め

誰もが場所や時間を問わずにアクセス可能なシンプルなデータ管理を求めている企業には、ストレージの作成やデータ・ボリュームの定義を容易にするブロック・ストレージが実用的なソリューションです。

ブロック・ストレージを使用するユーザは、バイト単位でデータを定義するため、保管や処理の際のアクセスが容易になり、従来のファイル・ストレージ・ソリューションの欠点を緩和できます。

多くの場合、オブジェクト・ストレージは、重要なデータを処理するための構造的システムを提供します。

データ管理向けに構築されたソリューションを必要とする企業は、オブジェクト・ストレージを使用すると容易にRAWデータを作成および保管し、その形式で操作することができます。

タイプやサイズの制限が定義されていないデータ用に無制限の量のストレージを必要とする企業は、オブジェクト・ストレージを使用することで、後でどのように使用するかを心配することなく、任意の情報を定義することができます。

加工されていない膨大な量のデータを扱う企業には、オブジェクト・ストレージが最適なソリューションです。

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