一流のIT組織がクラウド・バックアップを選ぶ理由
クラウド・バックアップにより、企業は大切な情報やデータセットを組織全体で整理しつつ、安全に保管することができます。御社のバックアップ・インフラストラクチャにクラウド・バックアップを取り入れるメリットを見ていきましょう。
ITの進むべき方向性について、現在分かっていることは何でしょうか?
第一に、企業は運用のアジリティ、効率性、回復力、価値を高めるためクラウドに依存しています。ガートナーによる最近のレポートによると、2025年までに企業の85%がクラウド・ファースト戦略を取るとされています。
第二に、ひとつのクラウドのみに頼る方法はもはや過去の戦略となりつつあります。IBMによる最近の調査では、世界全体で企業の97%が複数のクラウドを採用していることが明らかになりました。
また、必ずしもすべての作業がクラウド内で実行されているわけではないことも分かっています。Amazon Web ServicesのCEO、アダム・セリプスキー氏が説明するように、私たちは様々な理由から、数多くのアプリケーションとデータセットをあえてクラウドには保存せず、オンプレミスで保管しています。
すなわち、我々のインフラストラクチャは複数のクラウドと多数のオンプレミス型プラットフォームの組み合わせであり、今後しばらくはこの状況が続くと考えられます。私たちは、ハイブリッド・インフラストラクチャの世界に生きているのです。
では、私たちの住むこの世界、つまりクラウドファースト戦略とマルチクラウドを採用しつつ、オンプレミスのサービスとデータセットも取り入れるこの世界において、バックアップの正解は何なのでしょうか?
これは、もっともな疑問だと言えます。結局のところ、数年以上事業活動を営んでいる企業ならば、ディスクやテープに代わってオンプレミス型のバックアップに頼るよりほかありません。その一方で、多数のクラウド・バックアップ・ベンダーがクラウド・バックアップへの移行を提案しています。いずれの手法の支持者も結局は、自社の製品やサービスを売り込むために、自分たちの正当性を主張して、相手側の問題点を指摘してきます。状況は複雑で、先行きは不透明です。
しかし、ひとつだけ確かなことがあります。
スタートアップ企業からフォーチュン500社に至るまで幅広い一流企業とお取引のあるSeagateは、その経験上、優れた企業がクラウドとオンプレミスのバックアップ技術を組み合わせることで、自社の環境、データセット、アプリケーション、そしてユーザーをデータロス、ダウンタイム、障害から安全に保護していることを知っています。こうしたバックアップ技術の組み合わせは、現代の企業にとって最適な方法だと言えます。
問題の本質を探る
では、この手法がまだ広く採用されていない理由は何でしょう?結局のところ、多くの企業はすでにバックアップ方針を定めているものの、クラウドベースのバックアップに関しては明確な指針を定めていません。これは主に、過剰な宣伝と混乱によって目が曇り、バックアップの真の価値を見極めることができなくなっているからだと言えます。実際、ITリーダーたちはバックアップにあまり多くの時間を費やしていません。その理由のひとつに、バックアップが厄介な作業であることが挙げられます。バックアップは必要な作業ですが、その実装環境によってはIT運用の費用と複雑さが増します。バックアップは、実際に障害が起こるまで、何ヶ月も何年も、事業に直接的な価値をもたらすことはありません。もっとリソースを投じるべき優先度の高いIT分野がいくつも存在する中で、バックアップに積極的に投資しようとする企業はあまりないでしょう。
ところが、ほとんどのバックアップ・プラットフォームは現代のニーズに対応できていません。データセットは飛躍的に増大しており、オンプレミス・ソリューションはすでに限界に達しつつあります。データは異種のインフラストラクチャ(オンプレミス、クラウド、エンドユーザー・デバイス)に分散しており、環境ごとに異なるバックアップ・ツールが必要なことから、従来の方法ではバックアップに十分対応できなくなってきています。4,000人の専門家を対象とした調査では、バックアップ作業の37%がうまくいっておらず、データ復旧の34%が失敗に終わっていることが分かっています[2]。これは到底容認できる状況ではありません。
企業はこの現実にどう対処すればいいのでしょうか?この場合、大規模かつ高性能のオンプレミス型バックアップ・インフラストラクチャを構築することが最善の方法だとは言い切れません。オンプレミスのバックアップ環境を数百テラバイトまたは数千テラバイト規模まで拡張することは、効率的でも効果的でもないのです。たとえリソースが社内にあり、オンプレミスのバックアップ・プラットフォームを拡張する必要があっても、企業は収益に直接影響する分野からそうしたリソースを流用することに果たして意義があるのかを見極める必要があります。
ハイブリッド手法を選ぶ
「既存のバックアップ環境にクラウドベースのバックアップを追加する」と聞いて真っ先に頭に思い浮かぶことは、a) 追加費用がかかり、b) 新たなスキルが必要とされ、c) すでに十分複雑なIT環境がさらに複雑になって、大して価値が得られない、という点かもしれません。
しかし、現実は大きく異なります。企業は現在のデータ・バックアップ方針を見直し、クラウドベースのバックアップが既存のバックアップ方法を拡充するうえで効率的かつ効果的な手法であることを理解する必要があります。我々がこれまでハイブリッド・インフラストラクチャを選んできたように、バックアップ技術もハイブリッドでなければなりません。
御社のプロセスにクラウド・バックアップを取り入れるメリットを見ていきましょう。
ここで、御社のバックアップ・インフラストラクチャが典型的なオンプレミス型のインフラストラクチャであると想像してみてください。「3-2-1ルール」(3つのデータコピーを2種類のメディアに保存し、1つのオフサイトに保管する方法)に従ってバックアップを維持しています。プライマリ・データセットをディスクに保存し、予備ディスクに予備のコピーを2つ作成して、そうしたコピーをテープに保存し、一方のテープをオンサイトで、もう一方のテープをオフサイトでのアーカイブのためリポジトリで保管します。そして、この作業を何種類ものアプリケーションを対象に、多くのサイトで実施していることでしょう。
ここで想像してみてください。このバックアップ戦略のどこにクラウド・バックアップを組み込むことができるでしょうか。
クラウド・バックアップによってオンプレミス・バックアップをいかにして強化できるかをお分かりいただけたでしょうか?御社のプライマリ・バックアップはできるだけすばやく復旧できるよう引き続きローカル・ディスクに保存されますが、それほどすぐに復旧する必要のない他のアプリケーションは、クラウド・バックアップに移行し始めます。また、高コストのオンプレミス・ディスクやテープへの依存度を軽減することもできます。汎用性の高いクラウド・バックアップには、データの増加を管理し、サービスレベル契約 (SLA) の内容を調整し、万一障害によって主要なバックアップ場所がオフラインになっても予備のオンライン・データソースを確保できるという重要なメリットがあります。
さらに、クラウド・バックアップにはもうひとつの重要なメリットがあります。サイバー攻撃とランサムウェアが横行する現代、企業はデータの盗難や削除の被害を受けています。また、所在不明の怪しい口座に多額のビットコインを送金するまで、インフラストラクチャ全体が閉鎖されるという被害に遭った企業もあります。会社から完全に分離されたクラウド・バックアップ・プラットフォームに不変のデータコピーを保存しておくことで、企業は、テープよりもアクセスしやすく、管理者の負担も少ないもうひとつのデータ復旧ツールを手にすることができるのです。
適切なバックアップ用クラウドを選ぶ
ここまで、クラウドベース・ソリューションを追加することのメリットを説明してきましたが、果たしてどのクラウドを選べばいいのでしょうか?実際のところ、ひとつとして同じクラウドはありません。必ずしもすべてのクラウドがバックアップで高いコストパフォーマンスを発揮するわけではなく、御社のバックアップ・ソフトウェアとスムーズに連動するわけでもありません。
ここで、御社が従来型のプライマリ・クラウド・ストレージ・サービスではなく、バックアップにも適しているとされるクラウドに関心を持っているものとお考えください。例えば、ある大手クラウド・プロバイダがS3ストレージ・サービスを提供しているとします。これは通常、頻繁にアクセスしないデータの長期保管要件を満たす目的で使用されるサービスです。初期費用は低く設定されていますが、エグレス料金、アプリケーション・プログラミング・インターフェイス (API) 料金、そして費用感が不透明でコスト効率も悪い容量や性能ベースの料金を含む複雑な料金体系により、継続的に費用がかさんでいき、手に負えない状況に陥ります。しかも、そのプロバイダのS3サービスは復旧に時間がかかることがあり、目標復旧時点 (RPO) に間に合わないという事態も招きます。
この例では、こうした複雑さを回避できる別のクラウド・ストレージ・サービスが求められます。ところが、S3はバックアップに広く使用されているAPIであり、多くのバックアップ・ソフトウェア・ベンダーがこの規格を採用しています。まずは、S3との互換性を持つバックアップおよび 復元に適した「サービスとしてのクラウド・ストレージ」ソリューションを選ぶと良いでしょう。その互換性があれば、御社のストレージは大手バックアップ・ソフトウェア・ベンダーの規格に広く対応できるため、既存のバックアップ戦略や方針にシームレスに取り入れることができます。
さらに、以下の点にも注目しましょう。
Seagate® Lyve™ Cloudを利用することで、御社は新たな方法でバックアップを改善することができます。Seagateは、他社にはない確かなメリットを備えた魅力的なS3ソリューションをご用意しています。詳細は、www.seagate.com/solutions/cloud/cloud-backupでご確認ください。