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LaCie RAID Managerユーザ・マニュアル LaCie RAID Managerユーザ・マニュアル
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RAID

LaCie RAID Manager を使用して、アレイの RAID レベルを構成します。以下では、互換性のある LaCie デバイスで利用可能な RAID モードについての基本的な説明を行います。

RAID レベルは、アレイ内のハードディスク ドライブの数に依存します。たとえば、4 つのハードディスク ドライブを持つアレイは RAID 1 を除くすべての標準の RAID レベルをサポートします。RAID 1 は 2 つより多いディスクを持つアレイとは互換性がありません。4 つのハードディスク ドライブを持つアレイで比較すると、100% のストレージ容量を使用でき、高いパフォーマンスを実現する RAID 0 が最適の選択肢のように見えます。しかし、RAID 0 ではハードディスク ドライブに障害が発生したときデータが保護されないという大きな弱点があります。さらに、RAID 0 のパフォーマンスは RAID 5 と比較してそれほど優れているわけではなく、RAID 5 では 1 つのハードディスク ドライブに障害が発生した場合もデータが保護されます。RAID 6 と、(一部の場合には) ネスト化した RAID レベルでは、2 つ以上のハードディスク ドライブに障害が発生した場合にデータが保護されます。

RAID モードタイプハードディスク ドライブの最少数LaCie デバイス

RAID 0

標準

2

すべて

RAID 1

標準

2

すべて

RAID 5

標準

3

すべて

RAID 6

標準

4

すべて

RAID 10

ネスト化

4

すべて

RAID 50

ネスト化

6

LaCie 6big および LaCie 12big Thunderbolt 3

RAID 60

ネスト化

8

LaCie 6big および LaCie 12big Thunderbolt 3

標準の RAID レベル

RAID 0

RAID 0 はデータをアレイのすべてのハードディスク ドライブにわたって書き込むため、最も高速な RAID モードです。さらに、各ディスクの容量が合計され、データ ストレージの効率も最高になります。

ただし、RAID 0 には非常に重要な機能であるデータ保護が欠けています。1 つのハードディスク ドライブに障害が発生すると、すべてのデータがアクセス不能になります。RAID 5 は次の機能を提供するため、推奨されるオプションです。

  • RAID 0 に近いパフォーマンス。
  • RAID 構成内に含まれるすべてのハードディスク ドライブの約 75% のストレージ容量。
  • 1 つのハードディスク ドライブに障害が発生した場合のデータ保護。

RAID 1

RAID 1 ではすべてのデータがアレイ内の各ディスクに同時に書き込まれるため、データ セキュリティが強化されます。単一のディスクに障害が発生しても、アレイ内の他のディスクでデータが利用可能な状態に維持されます。

ただし、データを何回も書き込むための時間がかかるため、パフォーマンスは低下します。また、RAID 1 ではデータのすべてのビットがアレイ内の両方のディスクに格納されるため、ディスクの容量が 50% 減少します。

RAID 5

RAID 5 ではアレイ内のすべてのハードディスク ドライブにわたってデータが書き込まれ、各データ ブロックについてパリティ ブロックが書き込まれます。1 つの物理ハードディスク ドライブに障害が発生しても、故障したハードディスク ドライブのデータを代替のハードディスク ドライブに再構築できます。RAID 5 アレイを作成するには、最低 3 つのハードディスク ドライブが必要です。

RAID 5 アレイに格納されているファイルは、1 つのハードディスク ドライブに障害が発生しても破損せず保持されますが、代替のハードディスク ドライブで RAID が再構築される前に 2 つ目のハードディスク ドライブに障害が発生した場合、データが消失することがあります。

RAID 5 では、RAID 0 に近いパフォーマンスが得られます。RAID 0 に対する RAID 5 の大きな利点は、データ保護が得られることです。さらに、RAID 0 アレイの約 75% のストレージ容量が得られます (利用可能なハードディスク ドライブの合計容量とストレージ容量に基づいて)。ストレージ容量は

(アレイ内で最も容量の小さいハードディスク ドライブのサイズ) * (ハードディスク ドライブの数 - 1) の式で計算できます。

例 1: 3TB のハードディスク ドライブが 5 つ割り当てられているアレイでは、合計容量は 15TB で、計算式は

3TB * 4 = 12TB です。

例 2: 2TB のハードディスク ドライブが 3 つ、3TB のハードディスク ドライブが 1 つ割り当てられているアレイでは、合計容量は 9TB で、計算式は

2TB * 3 = 6TB です。

RAID 6

RAID 6 ではアレイ内のすべてのディスクにわたってデータが書き込まれ、各データ ブロックについて 2 つのパリティ ブロックが書き込まれます。1 台の物理ディスクに障害が発生しても、データは代替のディスク上に再構築できます。データ ブロックごとに 2 つのパリティ ブロックがあるため、RAID 6 では最高 2 つのディスクに障害が発生してもデータが消失しません。RAID 6 アレイを作成するには、最低 4 つのディスクが必要です。

RAID 6 では二重のパリティが使用されるため、障害が発生したディスクからの同期は RAID 5 よりも低速になります。しかし、二重のディスク セキュリティにより、重大性ははるかに低くなります。

RAID 6 はデータ保護に非常に優れており、RAID 5 と比較してパフォーマンスはわずかしか低下しません。

ネスト化した RAID レベル

RAID 10

RAID 10 は、RAID 1 のデータ保護と RAID 0 のパフォーマンスを両立させたものです。たとえば 4 つのディスクを使用する場合、RAID 10 では 2 つの RAID 1セグメントを作成してから、それらが RAID 0 ストライプとして組み合わせられます。この構成によって非常に優れたデータ保護が得られ、2 つの RAID 1 セグメント間で 2 つのディスクに障害が発生してもデータは保護されます。さらに、RAID 10 ではファイル レベルでデータが書き込まれ、RAID 0 のストライプにより、小さなファイルを大量に管理するとき、さらに優れたパフォーマンスが得られます。すなわち、毎秒のデータ入出力 (IOPS と呼ばれます) がより多くなります。

RAID 10 は、大量の小さなファイルをアレイのディスク全体にわたって読み書きする必要があるデータベース管理者に最適な選択肢です。RAID 10 は IOPS とデータ保護が非常に優れているため、データベース管理者はファイルの安全確保と高速なアクセスの両方について優れた信頼性を得ることができます。

RAID 50

RAID 50 は、RAID 0 のストライピングと RAID 5 のパリティの組み合わせです。RAID 50 は、RAID 0 のストライピングの速度によって RAID 5 のパフォーマンス (特に書き込み時) が改善されています。また、1 つの RAID レベルよりも保護能力が優れています。フォールト トレランス機能の向上、大容量、優れた書き込み速度が必要な場合は、RAID 50 を使用してください。RAID 50 アレイには、最低 6 つのハードディスク ドライブが必要です。

多数のハードディスク ドライブを用いた RAID 50 アレイは、大容量であるため、初期化とデータの再構築のための時間が増加します。

RAID 60

RAID 60 は、RAID 0 のストライピングと RAID 6 の二重のパリティの組み合わせです。RAID 60 は、RAID 0 のストライピングの速度によって RAID 6 のパフォーマンスが改善されています。また、1 つの RAID レベルよりも保護能力が優れています。フォールト トレランス機能の向上、大容量、優れた書き込み速度が必要な場合は、RAID 60 を使用してください。RAID 60 アレイには、最低 8 つのハードディスク ドライブが必要です。

RAID 60 アレイは多数のハードディスク ドライブを用いるため、初期化とデータの再構築のための時間が 1 つの RAID レベルよりも長くなります。

RAID+Spare

RAID+Spare アレイでは、ハードディスク ドライブに障害が発生した場合に直ちにデータを同期するために使用可能な「ホット スペア」が用意されています。アレイ内のハードディスク ドライブに障害が発生した場合、スペアとの間でデータの同期が開始されます。スペアを持つ RAID アレイには、代替ハードディスク ドライブの即時性という利点があります。ただし、スペアはハードディスク ドライブに障害が発生したときの代替専用として扱われるため、通常の動作中はストレージとして使用できません。

障害が発生したハードディスク ドライブはただちに交換可能で、同期の完了後には新しいスペアとして割り当てることができます。

 

ドライブの障害とスペア ハードディスク ドライブの同期

RAID+Spare アレイでは、最少数の冗長化のハードディスク ドライブに障害が発生した場合にもデータは安全に保護されます。ただし、スペア ハードディスク ドライブとの同期の完了前または同期中に追加のハードディスク ドライブに障害が発生した場合、アレイのデータが消失します。以下の例を参照してください。

  • RAID 1 と 5 - 1 つのドライブで障害が発生した場合、アレイでは、直ちにスペア ハードディスク ドライブとの間でデータの同期が開始されます。同期の完了前に RAID 5 アレイ内の 2 つ目のハードディスク ドライブに障害が発生した場合、アレイのすべてのデータが消失します。
  • RAID 6 - 2 つのハードディスク ドライブで障害が発生した場合、アレイでは、直ちに、1 つ目の障害が発生したハードディスク ドライブとスペア ハードディスク ドライブとの間でデータの同期が開始されます。同期の完了前に RAID 5 アレイ内の 3 つ目のハードディスク ドライブに障害が発生した場合、アレイのすべてのデータが消失します。
  • ネスト化した RAID - ネスト化された RAID レベルには、障害の発生したハードディスク ドライブが含まれているネスト化された RAID アレイに応じた、高度なフォールト トレランス機能があります。
  • RAID 10 と 50 - それぞれのネスト化したアレイで 1 つのハードディスク ドライブが消失するおそれがあります。同期の完了前または同期中に 2 つのネスト化したアレイのいずれかで 2 つのハードディスク ドライブが消失した場合、データが失われます。
  • RAID 60 - それぞれのネスト化したアレイで 2 つのハードディスク ドライブが消失するおそれがあります。同期の完了前または同期中に 2 つのネスト化したアレイのいずれかで 3 つのハードディスク ドライブが消失した場合、データが失われます。

RAID およびデータ セキュリティ

0 よりも高い RAID レベルでは、1 つのドライブが故障してもデータを保護できますが、すべてのケースのハードウェアの故障やデータ破損に対する完全なデータ保護は保証できません。ハードウェアの故障など、万が一の場合のデータの損失を避けるため、データを少なくとも 2 部保持することを強くお勧めします。たとえば、1 部を LaCie ストレージ デバイスに保持し、もう 1 部を次のいずれかに保持します。

  • 他の直接接続ストレージ (DAS) デバイス
  • ネットワーク接続ストレージ (NAS) デバイス
  • いずれかの形式のリムーバブル ストレージまたはアーカイブ ストレージ

LaCie ハードディスク ドライブまたは LaCie ハードディスク ドライブ システムの使用中に生じたデータの損失、改悪、破壊は、お客様ご自身の責任であり、いかなる場合であっても当社はそのデータの回復または修復について責任を負いません。