ホワイト・ペーパー

本来のマルチクラウドの体験

組織がマルチクラウド・エコシステムを活用してデータのビジネス価値を最大限に引き出す方法

01 6月, 2023

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目次:

    ホワイト・ペーパーLyve Cloud

    より多くのクラウドを使用してより多くのデータを管理


    データの量は世界中の組織で日々増加しています。IDCは、世界のデータの総量は2026年までに220ZBを超えると予想しています。1また、Seagate®発行の「Rethink Data」レポートでは、今後2年間だけで企業データは年間42.2%も増加すると予想されています。このような増加に伴い、イノベーションを促進しビジネス成果を向上させる分析やインテリジェンスにデータを活用することが必要になっています。

    会社がこのような成果を達成する方法として挙げられるのが、クラウドです。このクラウドというおなじみの単語は、固有のメリットやデメリットを持つ固有のストレージ・アーキテクチャを広く表す言葉です。今回このホワイト・ぺーパーで取り上げるクラウドはマルチクラウドです。マルチクラウドに関心を寄せる組織は増え続けています。

    マルチクラウドでは、複数のクラウド・ベンダーのクラウド環境を同一のアーキテクチャに展開します。例えば、2社のベンダーから採用した2つのプライベート・クラウド、または、2社のベンダーから採用した2つのパブリック・クラウドを持つことが考えられます。これは、パブリック・クラウド・ベンダーとプライベート・クラウド・ベンダーの両方を利用するハイブリッド・クラウドなどの環境とは明確に異なります。

    Seagate発行の「マルチクラウド成熟度レポート」は、2022年の初めに業界の幹部を対象に実施された世界規模のウェブ調査から得られたインサイトをまとめたものです。このレポートによると、回答者500人のうち82%はすでに2社以上のパブリック・クラウド・インフラストラクチャのサービス・プロバイダ(サービスとしてのソフトウェア (SaaS) プロバイダを除く)を利用しており、この数字は2年後には93%に増加すると予想されています。明らかにマルチクラウドは急増しています。

    このホワイト・ペーパーでは、マルチクラウドのメリット、それがビジネスにもたらす課題、企業がこのエコシステムを活用してデータのビジネス価値を最大限に引き出す方法について紹介します。

    拡張

    マルチクラウドの将来性と落とし穴

    マルチクラウドが魅力的なのには理由があります。マルチクラウドでは、さまざまなパブリック・クラウド・サービスが持つ拡張性と柔軟性をプライベート・クラウドの提供する予測可能な規模のコストと組み合わせることで、企業や組織のニーズに合ったソリューションを選ぶことができます。これをうまく実現することができれば、企業はデータ保護の強化、柔軟性やアクセシビリティの向上というメリットを得ることができます。問題は、複雑さとコストという大きな2つの制約により、実現させるのが難しいということです。それぞれについて説明しましょう。 

    データが急増の一途をたどり、組織がクモの巣を張るようにデータを集めて管理しようと懸命になっている一方で、マルチクラウドのエコシステムはますます拡大して入り組んだものになり、その結果、かつてないほど複雑になっています。「マルチクラウド成熟度レポート」によると、ホット/ウォームデータをクラウド・インフラストラクチャに保存している組織の56%では、異なる環境で稼動するアプリケーションがこれらのデータに少なくとも毎日アクセスしており、こうした現実を物語っています。回答者の半数以上は、100以上のクラウド間統合を管理しています。また、意外なことではありませんが、調査対象者の76%が、クラウド間統合に依存するアプリケーションのSLAの順守を監視、測定、保証することは困難と回答しています。 

    こうした複雑さはすべて、マルチクラウドによる混迷に結び付きます。データは頻繁にサイロ化し、ワークロードのポータビリティは制限され、コンプライアンスのリスクが山積し、企業はセキュリティと弾力性を強化して環境の弱点を最小化する必要に迫られています。

    しかし、それだけにはとどまりません。この複雑さによるもう1つの側面は、データ関連コストが分かりづらく変動することが多いという点で、これが問題を助長する要因になっています。多くのクラウド・リポジトリは高い壁を築き上げており、柔軟なデータ移動はほとんど不可能です。データを取り込むのは簡単ですが、取り出すのはそうではありません。ストレージ・メディアのコスト、高額なエグレス料金、予測不可能なAPI料金、曖昧な料金モデルの間で、企業はデータを必要な場所や最もビジネス価値を発揮する場所に移動させるのに苦労しています。その結果、大半の企業は価値あるデータを削除してしまうのです。 

    結局マルチクラウドを利用する企業は多くの場合、次のようなケースに陥り失敗することになります。まずは、あらゆるデータを保存するが、コストが高いため実際には使用しないというケースです。次に、データを最大限に活用するが、他の分野のビジネスが減速したり止まったりするほどの高額な料金を支払うケースです。そして、(結局使うことができないので)データを消してしまい、潜在的なインサイトやビジネス価値を失うリスクを負うケースです。 

    これらは競争に勝ち続けようとするあらゆる組織にとって、好ましくない選択肢でしかありません。幸い、このような状況に陥る必要はありません。ストレージに関する3つの重要な問題に対処し、最適化することで、マルチクラウドの複雑さからデータを救うことができます。 

    1:コストを管理する

    ビジネス戦略においてデータは不可欠です。IT部門やビジネス・リーダーは、古いデータから価値を引き出し、新しいデータをシームレスに作成、保存、移動、分析して、インサイトを導き出し、新たな収益源を生み出す必要があります。しかし、TCO(総保有コスト)という困難な問題が、データをクラウドに保存する際に発生します。考慮すべきコストには、ストレージ全体、読み取りアクセス、書き込みアクセス、リストおよび作成操作、データ取得、サポートのコストなどがあります。マルチクラウドでは高額なAPI料金とエグレス料金が発生することが多く、ITリーダーは予算計画とイノベーションに取り組みながら、予測不能な請求や常に発生する追加料金に対処しています。

    このような非効率な状況では、どうしても成長は妨げられてしまいます。最悪の場合、完全に止まってしまいます。そのため、特にペタバイト規模のデータをすでに保有している、またはこれからデータがそうした規模に拡大していくことが見込まれる組織では、API料金やエグレス料金が不要で、明確で一貫性のある予測可能な料金体系を提供しているコストパフォーマンスに優れたソリューションを見つけることが重要です。

    2:柔軟性を手に入れる

    マルチクラウド環境で最も革新的であり、最も迅速にイノベーションを起こす企業には、次の3つの共通点があります。

    • いつでもデータにアクセスでき、必要に応じてデータを使用し、共有できます。
    • データを最も価値を発揮する場所に簡単に移動できます。
    • ビジネス・ニーズの変化に応じて、データの保存量を増やしたり減らしたりできます。

    つまり、データに柔軟性があり、これは迅速かつ革新的なビジネスが実現できるということを意味するのです。忘れてはならないのは、データのみではインサイトにならないため、単にデータを集めるだけではイノベーションにはつながらないという点です。データをインサイトに変えるのはアクセスです。つまり、目的のユーザーが簡単かつ迅速にデータにアクセスできる仕組みです。アクセスできなければインサイトを得られず、インサイトがなければイノベーションも生まれません。これは非常に単純であり、同時に、非常に複雑でもあります。

    しかし、ここで問題があります。柔軟性はコスト管理による直接的な結果です。データの移動やデータへのアクセスにより、予算がAPI料金やエグレス料金に大きく費やされることになれば、柔軟性もイノベーションも失われてしまいます。

    3:データ保存量を増やし、その価値を迅速に引き出す

    今日の経済はデータによって主導されています。つまり、データを最も多く保有し、それを最も迅速に活用した企業が勝者となります。すでに説明していますが、コストと柔軟性はこれを実現するうえで大きな役割を果たします。

    2026年までに220ZBのデータ増加が予想されるという話を覚えているでしょうか。これが現実となった時、準備ができている企業も、そうでない企業も出てくるでしょう。準備ができている企業は、コストを抑えながら効率的に大量のデータを取得、保存、移動、管理できるインフラストラクチャを保有しているでしょう。そのような企業は、データの大部分をビジネス価値に変換できるため、220ZBという膨大な量のデータから恩恵を得ることができます。その結果、競争に勝ち続けることができます。一方、適切なインフラストラクチャ持たない企業にとっては、このようなレベルの飛躍的なデータの増加は大きな負担となります。現在の傾向が将来を表しているとすれば、残念なことに、ほとんどの企業が後者のケースに当てはまることになります。

    現在の傾向について紹介すると、今日、企業データの44%は収集されていません。収集されたデータ56%のうち、43%は使用されていません。つまり、使用可能なデータのうち、実際に活用されているのは32%で、残りの68%は活用されていません。言い換えると、ビジネス・データとその潜在的価値については、非常に大きな損失が発生しています。

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    この数字に220ZBという驚異的なデータの増加と、この大量のデータを処理する(現状は破綻している)マルチクラウド・エコシステムの必要性が高まっているという状況を合わせて考えてみると、まるで災害映画のような状況に思われてきます。企業はデータの巨大な波が押し寄せる中、壊れそうな舟に乗って必死に舟を漕いでいますが、助からないのです。

    Seagateの場合、ここで「カット」と叫び、このシーンはひどいので撮り直すことにするでしょう。それはなぜか?なぜなら、このような未来は実現するはずがないからです。このシナリオでは、イノベーションとビジネスの成功は制限されています。その結果、人間の可能性も制限されてしまっています。

    制約がイノベーションを生み出す

    過去40年以上に渡り、私たちは世界中のあらゆる業界の何千人ものビジネス・リーダーと話をしてきました。私たちは彼らが直面する制約やデータ災害の話に耳を傾け、学んできました。そして、そこから得られた知見を活用してソリューションを生み出し、流れを変えてきました。SeagateのCEOであるデーヴ・モーズリー (Dave Mosely) は次のように述べ、このことを的確に表現しています。「イノベーションは傾向から生まれるのではなく、制約下でより高い価値を生み出さなければならないという状況から生まれます。制約はあらゆるところにあります。データの持つあらゆる価値へのアクセスもその1つです」 

    今日のマルチクラウドの複雑さは、まさに制約です。しかし、実際には乗り越えることができます。その方法については後ほど説明するとして、まず、ある話を紹介しましょう。

    私たちのマルチクラウドにおける苦難の克服

    Seagateは自身のマルチクラウドのデータに関する問題、つまりTCOとセキュリティに関する問題と戦ってきました。それ以外にも、長期的なデータ復元の方法が存在しないこと、バックアップ・ストレージ・ベンダーの複雑な料金モデル、そしてもちろん、日々増大するデータ・セットの管理の問題などがありました。

     私たちがマルチクラウドをユーザーとして実際に利用して分かったのは、ほとんどのパブリック・クラウドは経済的な観点からビッグ・データの分析をサポートしていないということです。複雑なストレージ階層や、データの移動やアクセスにかかる追加料金により、私たちは認めたくないほど多くのデータを放棄しました。すべては、データの保存にコストがかかりすぎるためでした。皮肉なことに、私たちはビジネスでストレージを通じてデータに価値をもたらすことに専念してきました。なぜ私たちはマルチクラウドの恩恵を得ることができなかったのでしょう。ソリューションがないことに苛立ち、自分たちのデータが今後どうなるのか不安を感じていた私たちに残された選択肢は1つで、それは自分たちでソリューションを開発することでした。

    データ・コストを最小化して、データ・イノベーションを最大化する企業が競争に勝つのです。

    Seagate Lyve Cloud:マルチクラウドをサービスとして思うままに利用

    Lyve Cloudの登場

    Seagate® Lyve™ Cloudはシンプルながら信頼できる効率的なクラウド・バックアップ・ストレージ・ソリューションを、APIコール料金やエグレス料金のかからないシンプルな料金体系で提供します。一般的なバックアップ・アプリケーションに対応するよう設計されたLyve CloudはS3対応で、保存済みおよび移動するどちらのデータに対しても、エンドツーエンドのデータ暗号化機能を提供します。Lyve Cloudをバックアップに活用し、サービスとしてのスケールアウト・オブジェクト・ストレージを利用することで、飛躍的に増加するデータを簡単かつコストパフォーマンスよく管理すると同時に、単一のアクセスしやすいデータ・リポジトリを作成して高度な分析を加速させることができます。

    以下にLyve Cloudを利用して、さまざまな課題をどのように解決できるかを紹介します。

    アクセス性と可用性

    多くのクラウド・プロバイダとは異なり、Lyve CloudではAPIコール料金やデータのエグレス料金がないため、ユーザーは追加料金を請求されることなく、多くのデータにアクセスできます。また、Lyve Cloudのマルチリージョン構成による可用性に加え、業界トップのデータ耐久性(常時稼動でフォー・ナインの稼動率と29ナインのデータ耐久性)と暗号化機能により、遅延によってコストを無駄にすることなく、データにいつでもアクセスできます。Lyve Cloudにより、企業はプライマリ・バックアップ・データであってもS3対応のストレージを使用できます。オブジェクトの不変性を実装し、ランサムウェアなどのサイバー・セキュリティの脅威からデータを保護します。

    拡張性

    Lyve Cloudのシンプルな容量ベースの料金体系なら、高額の費用を投じることなく、無限の拡張性を手にすることができます。APIコール料金やエグレス料金がないため、請求の不安から解放され、使用量に基づく予測可能な予算管理が可能になります。これにより、コスト面でリスクを負うことなく、バックアップ容量をオンデマンドで拡張できます。また、迅速なデータへのアクセスやデータの削除も可能になります。ビジネス継続性を実現するには、復元を迅速に行う必要があります。Lyve Cloudを使用すれば、遅延によってコストを無駄にすることなく、ユーザーはすべてのデータを柔軟に管理できます。このような柔軟性は、データ保護やディザスタ・リカバリを効率的に進めるうえで欠かせません。

    データの統合と分析

    Lyve Cloudは企業があらゆるバックアップ・データを有効活用するために必要な場所に移行するのを支援します。これにより、組織はデータに再びアクセスできるようになり、価値を生み出せていなかったコスト・センターを価値あるビジネス資産に変えることができます。データを取り込むと、そのデータを分析に使用できるようになり、組織は以前はアクセスできなかったデータに内在する可能性や価値を引き出すことができるようになります。

    IT変革とデータの増加

    Lyve Managed Migration Servicesは、古いストレージ・メディアやデータ形式の大量のデータを安全で計画的にプライベート・クラウド、ハイブリッド・クラウド、パブリック・クラウドのプラットフォームに直接移行するためのシンプルで合理的なプロセスを提供します。一元化されたデジタル・リポジトリにデータをまとめることで、組織はデータを物理的な劣化、盗難、その他のセキュリティ・リスクから守ることができます。また、データへのアクセス、データの復元、マイニング、分析、収益化、展開を、これまでできなかった方法で行うことができます。

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    Lyve Cloudの活用方法

    シームレスな統合と容量ベースの料金体系に加え、Lyve Cloudが特定のユースケースにどのようなメリットをもたらすか見てみましょう。

    データ分析

    Lyve Cloudは、最も厳格で世界的に有名なデータ・セキュリティ基準に準拠し、ISO 27001:2013とSOC2の認証を受けています。ランサムウェア対策、企業グレードのID管理サポート、自動データ複製、保存済みおよび移動するデータの暗号化といった機能で、大切なデータを守ることができます。大手バックアップ・ソフトウェア・プロバイダとのシームレスな統合により、企業はシームレスにバックアップやスケールアウトを行い、サイバー攻撃の脅威からデータを守ることができます。

     

    バックアップ

    Lyve Cloud S3ストレージは、ランサムウェア対策の強力な機能であるオブジェクトの不変性を実装し、テープのようなエアギャップなデータ保護を実現します。これを自動複製機能と組み合わせることで、保存済みのバックアップを万全の体制で守ります。

    メディアおよびエンターテイメント

    Lyve Cloudはユーザーの採用するバックアップ体制やソフトウェア・プロバイダに関係なく利用できます。Lyve CloudのS3対応インターフェイスは、Veritas、CommVault、Rubrik、Veeam、IBM Spectrum Protect、Cohesityなど多くの大手バックアップ・ソフトウェア・プロバイダの環境に対応していることが認められています。詳細については、ソフトウェア・パートナーの一覧をご覧ください。

    ビデオ管理

    Lyve Cloudは単一のリポジトリを提供しており、これはすべてのクラウド/コロケーションおよびアーカイブのバックアップ・コピーに対応しています。同時にユーザーは、ディザスタ・リカバリを含め、オンプレミスやクラウド(ハイブリッド・クラウドやマルチクラウド)のデータを柔軟にバックアップや復元できます。

    結論


    世界の人口は78億人を突破し、在宅勤務をする人や、IoT、エッジ・コンピューティング、AIをはじめとする技術に関わる人の数はますます増えています。データの急増(繰り返しますが、2026年までに220ZB)は、私たちが準備をしているかどうかを問わず起こります。

    こうしたデータのマイニングと分析によって、技術革新、業務効率の向上、そして新たな収益源を実現するための方法を開拓することができます。このような大量のデータを活用してその量に相応するだけの価値を得るためには、マルチクラウドが不可欠であり、同時にそれを最適化する必要があります。複雑でなく、コストがかからず、最適化されていなければなりません。

    だからこそ、Lyve CloudのようなSTaaSソリューションがマルチクラウド戦略の中心になるべきなのです。複雑なクラウド管理システムを簡素化し、組織がこれまで削除せざるを得なかったデータを保存できるようにすることで、ビジネス・リーダーはデータをコストパフォーマンスよく最大限に活用できるようになり、優れた成果と成長の機会が生まれるのです。

    詳細をお知りになりたい場合