試行後決定
[試行後決定(Try&Decide)]機能を使用すれば、特別な仮想化ソフトウェアをインストールすることなく、セキュアでコントロールされた一時的ワークスペースをコンピュータ上に作成することができます。オペレーティング・システム、プログラムまたはデータが破損するリスクを気にせずに、様々なシステム操作を実行することができます。
仮想上の変更を行った後、それを元のシステムに適用できます。行った変更を維持したい場合は、これらの変更をシステムに適用するとよいでしょう。この機能を使用して試行できる可能性がある操作には、たとえば、不明な送信者から送られてきたメールの添付を開いたり、トラブルを起こしかねないコンテンツが含まれている可能性があるウェブサイトを閲覧したりする操作があります。たとえば、一時的な複製でウイルス感染の危険性があるウェブサイトを閲覧したり、そのようなEメールの添付を開いたりする場合、複製を破壊するだけで他には被害が出ません。つまり、ウイルスはコンピュータ上には現れないのです。
EメールをPOPメール・サーバからダウンロードする場合は、必ず[試行後決定(Try&Decide)]モードで新規ファイルを作成したり、既存の文書を編集したりしてから、変更を破棄するかどうかを決めることが重要となります。そうすれば、これらのファイル、ドキュメント、メールの存在を完全に削除することができます。POPメールを使用する場合は、[試行後決定(Try&Decide)]モードを有効化する前に必ず、サーバにメールを残すようEメールの設定を変更します。こうすればいつでもEメールを再取得できます。[試行後決定(Try&Decide)]で保護されていないドライブに、新規ファイルや編集後の文書を保存する場合も同じです。
[試行後決定(Try&Decide)]モードを開始した後は、どのようなシステム更新、ドライバおよびアプリケーションも、システムへの潜在的な影響を気にすることなく、安全にインストールすることができます。何か問題が発生したら、[試行後決定(Try&Decide)]モードで行った変更を破棄することができます。
[試行後決定(Try&Decide)]の最も優れた特徴の1つは、オペレーティング・システムの一時的な複製に対して更新で行った変更から、「実際の」オペレーティング・システムを分離することができる点です。何らかの形で互換性がないことが分かった場合、システムの元の状態は更新適用時に変更されないため、システムを簡単に元の状態に復元することができます。
このため、システムの更新が表示された時には更新を安全にインストールできます。システムおよびMicrosoftアプリケーションの更新をインストールする準備ができたというメッセージがWindowsの更新により表示された場合は、[試行後決定(Try&Decide)]モードを有効化してから、更新のインストールに進みます。何らかの問題が発生した場合は、変更を破棄して、実際のオペレーティング・システムおよびアプリケーションに影響が出ないようにします。
[試行後決定(Try&Decide)]モードは、オペレーティング・システムが再起動されても「残る」ため、必要な期間だけ有効な状態を保つことができます(ずっと有効にしておくこともできますが、このような場合は変更の適用に時間がかかる可能性があります)。
Windows Vistaを使用している場合、[試行後決定(Try&Decide)]モードではプログラムがアイドル状態でも、BlackArmorバックアップのセキュア・ゾーンの空きスペースをかなり集中的に使用する可能性があるため、ご注意ください。これは、バックグラウンドで実行されるインデックス作成など、Windows Vistaの付帯処理作業によるものです。
[試行後決定(Try&Decide)]モードでの作業中に何らかの理由でコンピュータが再起動された場合、オペレーティング・システムの起動が開始する前に、モードを中断して変化を破棄するか、またはモードで作業を続けるかという2つのオプションがダイアログに表示されます。これにより、システムのクラッシュの原因となった変更を破棄することができます。一方、たとえばアプリケーションをインストールした後に再起動した場合は、Windows起動後も[試行後決定(Try&Decide)]モードで作業を続けられます。
このモードを最終的にオフにする場合は、[終了(Stop)]ボタンをクリックします。ボタンをクリックすると、[試行後決定(Try&Decide)]モードで行ったシステムへの変更を適用するか、または破棄するかの決定を求めるダイアログが表示されます。
[変更を適用する(Apply changes)]を選択すると、システムに行った変更が適用され、[変更を破棄する(Discard changes)]を選択すると、システムは[試行後決定(Try&Decide)]モードを有効化する前の状態に戻ります。
[試行後決定(Try&Decide)]モードでの作業中は、システム・パフォーマンスが遅くなりますのでご注意ください。さらに、変更を適用するためのプロセスにはかなり時間がかかる場合があります。
[試行後決定(Try&Decide)]モードではディスクのパーティションにおける変更を追跡できないため、パーティションのサイズ変更またはパーティション・レイアウトの変更など、パーティションを使用した仮想操作には[試行後決定(Try&Decide)]モードを使用することはできません。また、[試行後決定(Try&Decide)]モードと、ディスクのデフラグ・ユーティリティまたはエラー・チェック・ユーティリティを同時に使用すると、ファイル・システムが回復不能な状態に破壊されたり、システム・ディスクを起動できなくなったりする可能性があるため、絶対に同時に使用しないでください。
シーゲイトBlackArmorバックアップは、BlackArmorバックアップのセキュア・ゾーンがほぼフルになるまで変更の追跡を継続します。その後、これまで行った変更を適用するかまたは破棄するか決定する段階になったことを知らせる警告メッセージが表示されます。警告メッセージに従わないことを選択した場合は、ゾーンがフルになるとプログラムがシステムを自動的に再起動し、再起動プロセス中に変更が破棄されます。この段階ですべての変更が消去されます。
[変更を破棄する(Discard changes)]を選択して、複数のオペレーティング・システムがインストールされた状態でコンピュータを再起動した場合、[試行後決定(Try&Decide)]モードでの作業に使用したオペレーティング・システム以外のオペレーティング・システムは起動できなくなります。2回目に再起動すると、元のMBRに戻り、他のオペレーティング・システムを起動できるようになります。